★★★☆☆ 著者:高橋克彦 出版社:講談社(文庫版あり) 文庫(講談社)⇒定価:770円 出版年月:2004年11月 ボリューム:492P
織田信長が天下布武の決意を固めた戦国末期、 南部家は跡目争いで揺れていた。 「北の鬼」と恐れられた九戸政実は宗家と訣別。 弟の実親らを指揮して斯波、和賀を攻め、勝利をおさめる。 独自の史観で奥州人の誇りと気迫を描く。 (amazon.co.jpより)
『火怨』、『炎立つ』に続く東北三部作。 天下人に喧嘩を売った、東北野郎の意地と度胸。 信長、秀吉の登場で、戦国時代も終わりに近づいたころ。 伊達政宗の更に北、最果ての地で暴れ回った男たちの物語。
詳細な合戦描写、東北を知り尽くした著者だけに、 地元の人が読んだらたまらないんだろうな。
南部の柱石であった九戸政実がいかにして主家と敵対するに至ったか、 天下人秀吉の戦いのわけ、濃密な権力ドラマを書き切っています。
おしむらくは、九戸政実をあまりに偉大な武将として書きすぎた点。 いかに合戦が巧かろうと大きな時代の流れから見れば2流の人物。 彼を過大評価しすぎるゆえに、 南部の権力争いの泥沼化、秀吉の介入の理由がすっきりと理解できません。 エンディングもいまいち、なぜ「あの決断」選ぶのか、正直よく分からん。 せっかく出てきた伊達政宗も活かし切れていません。
むしろ、 時代が見えなかった男の悲劇、 時勢眼と戦争スキルのアンバランスを中心に書いた方が面白くなったのでは。
寒い季節、東北合戦ドラマに夢を馳せるのも面白いですが、 『火怨』の方がオススメ。
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