★★★★★ 著者:岳宏一郎 出版社:新潮社(文庫版あり) 文庫(上巻)⇒定価:860円 出版年月:1997年12月 ボリューム:674P
太閤に続いて加賀前田利家も逝った。 家康は秀吉の遺法をこれ見よがしに犯し続ける。 動乱の機運が世を包む。 会津百二十万石を領す上杉景勝を取り込むべく、家康と三成が激しく動く。 黒田、加藤、福島、毛利、島津、宇喜多等、 群雄もそれぞれの思惑で蠢動しはじめる。 西か、東か、景勝の英断が下る。 歴史の軸が旋回しはじめた…。 関ヶ原という壮大なドラマを新しい視点で描く歴史雄編。 (amazon.co.jpより)
秀吉の死により、再び開いた地獄の釜。 曲者揃いの武将たち、いかにハードタイムズを生ききるか。 日本史上最大の決戦、関ヶ原の戦い。
上杉景勝の会津転封から関ヶ原合戦までを描く上下2巻。 かなりのボリューム。
でも、大決戦に至るプロセスを小エピソードの積み上げで描いているため、 途中であきることはありません。
なにより、登場する戦国武将がどれも魅力的。 智謀と人心洞察に長けながら、ちっちゃいプライドをもつ本多正信、 福島正則に屈折した思いを抱く石田三成など・・・
とりわけ鳥居元忠と大谷吉継の死生観が印象に残る。 死に花を咲かせることに執着する鳥居元忠。 華やかに武名を上げることを望みつつ、葉武者に討たれることを望む矛盾。 「自分の命を奪う運命の矢は1本しかない」と達観する大谷吉継。 ハンセン病に冒されこの世の地獄を見た彼の最期、 だらだら生きることの罪深さをイヤと言うほど教えてくれます。
ちなみに、『功名が辻』の山内一豊も登場。 ただ、一豊より、エピソードで絡む堀尾忠氏の印象が鮮烈。 智優りつつ運に飛び立たれた青年は、美しいまま、孕み蝮に噛まれ・・・
徳川、石田の2者択一を迫られた武将たち。 情勢をどう読むか、情はどう影響するか。 壮大かつ濃密な人間ドラマ。 司馬遼太郎の『関ヶ原』を上回る。
ボクは、この本、3回読みました。 3回も読んだのは、この本だけ。また読む気もまんまん。 こんなスゴイ本が絶版だなんて。国家的損失。 ユーズドはあるみたいなので、時代小説好きは是非読んでみてください。
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