★★★☆☆ 著者:海音寺潮五郎 出版社:文藝春秋(文庫のみ) 文庫(文春)⇒定価:550円 出版年月:2002年1月 ボリューム:324P
著者が世を去って四半世紀。 残された幾多の短篇から、選りすぐった傑作歴史小説を再編集。 足利時代中期、滅亡した畠山家の再興を願う主従と 堺の商人との不思議な縁を綴る表題作の他、 加賀・前田家の二代目利長と家臣たちの姿を描く「大聖寺伽羅」「老狐物語」 など全九篇。 (amazon.co.jpより)
格調高き歴史短編集。 著者海音寺潮五郎は明治34年生まれ(昭和52年没)。 恥ずかしながら、司馬遼太郎以前の歴史小説を読むのは初めて。 文語調、旧仮名遣いが読みづらいんじゃないかと思って。
そんな先入観を綺麗に拭い去ってくれる短編集が本作。 平易・簡明な文章で、この格調高さ。
特に、宮本武蔵と養子造酒之介(士道を通す為、自害)のやりとりを 同じく養子伊織の目から描く『宮本造酒之介』、 些細な行き違いから主南部利直に背き、 大阪城に篭ることで武士の意地を示す『南部十左衛門』。 無残なほど真っ直ぐな武士の道、際立ちます。
戦国最強夫婦 立花宗茂・千代の実情を描く『立花宗茂』も味わいあり。 あの千代が立花家に祟っていた・・・ 佐賀鍋島の化け猫騒動並みのインパクト。
惜しむらくは書き損じか、中途で筆を折ったような作品が混じっていること。 東北の盗賊大名と落日の畠山家の姫を描いた『羽川殿始末記』、 物語のクライマックスで尻切れトンボ、後に解説・後日譚がついてるだけ。 ストーリーもキャラクターも良いだけにもったいない。
これだけ読みやすく面白いなら、 司馬以前の歴史小説もどんどん読み進めることにしようっと。
amazon.co.jpでcheck! ⇒
⇒ 歴史小説の目次へ。
スポンサーサイト
テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌
|