★★★☆☆ 著者:高橋直樹 出版社:文藝春秋(文庫版あり) 文庫⇒定価:720円 出版年月:2000年11月 ボリューム:490P
中国地方の名門尼子家は、 主君晴久の急逝を境に天運傾き、毛利元就によって滅ぼされた。 生き残った尼子近習衆は、 家中随一の武者、山中鹿之介を中心に集結する。 主家を再興し、何よりも失われた故国、出雲を取り戻すために。 強大な毛利に幾度も戦を試み、秀吉とも渡りあい、 風雲の戦国末期を駆けぬけた武者の、鮮烈な生涯。 (amazon.co.jpより)
願わくば我に七難八苦を与えよ! 戦国のドM、阿井の渡しに散る・・・ 哀しいです。 切ないです。
山中鹿之助。 尼子十勇士の一人。 講談などで多く取り上げられる戦国の有名人。 三日月に尼子家再興を誓い、願わくば~のセリフを吐くシーン、 男子ならジーンとくるものがあるはず。
抜群の器量を持ちながら、尼子家再興に拘り続けた男の一生。 そして非業の最期。
本書でも、 河合将監との一騎打ちをはじめとする合戦シーンの激しさ、 柴橋大力之介というおとぼけキャラを以ってしても 拭い切れない、打ち消しきれない哀しさが残ります。
その想いを見事に言い表わしてくれるのが黒田官兵衛、 滅びかけた尼子家中に生まれ、みなの期待を一身に受けて育った鹿之助は、 その傑出した器量ゆえに 出雲尼子氏の鋳型にはめこまれてしまったのでございましょう。 鹿之助にとって出雲はたんなる故郷でもなければ主家の地でもありませぬ。 唯一無二の理想郷を打ち立てるべき地なのです。 出雲、月山富田城、尼子家、このいずれかひとつが欠けても あの男の理想郷は成り立ちませぬ。 あの男の器量を思えば惜しい気もいたしますが、 かような宿命を負わされたゆえに、 鹿之助はこれほどにそれがしの心にのこるのやもしれませぬ
やっぱり悲運に倒れた男を書かせたら、高橋直樹の右に出る者はいない。
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