★★★★☆ 著者:本多孝好 出版社:集英社(文庫版あり) 文庫(集英)⇒定価:560円 出版年月:2005年9月 ボリューム:330P
死にゆくあなたのために、僕ができること。 病院でバイトをする「僕」は末期患者の願いを叶えることを始める。 「初恋の人に会いたい」「いっそ殺してくれ」・・・ そこに込められた深い悲しみに、心は揺さぶられていく。 深くて切ない青春小説。 (amazon.co.jpより)
掃除夫は仮の姿、正体は末期患者の願いを叶える必殺仕事人。 鳥の将に死なんとするや、其の鳴くや哀し。 人の将に死なんとするや、其の言うや善し。 (論語より)
この本を読めば、↑の名句、素直にうなずけない場面がいっぱい。 人間だもの、最期までカッコつけて終われる人は少ないはず。
お涙ちょうだいの病院物語かと手にとってはみたものの、 とんでもない! 死を目前に控えた人間がどう振舞うか、何を願うか。 キレイごと、涙では表現しきれない心の闇。
特に、戦時中の事件に関わる『face』、 修学旅行中のささいな事件が発端の『wish』、 それぞれ背筋をビリビリさせるエンディング。
それでも、一番のお気に入りは、ホステスの最期を描く『firefly』。 自分の居場所を探しつづけて、 自分の生き方が間違っていることを認識しつづけて、 それでも最期まで器用に生きられなかった「上田さん」。 電車の中で読んでましたが、不覚にも泣きそうになってしまいました。。。 ベッドで読んでたら、いかれてたな。
強烈な個性をもつ末期患者に囲まれながら、主人公神田も光ります。 それは、彼が仕事人として患者との交流を通じ、 大きく成長しているからだと思います。
去り行く人間の物語であると同時にこれから舞台に上がる人間の物語。 本当の必殺仕事人の正体を暴くミステリー要素もあり。 これは深い本です。
伊坂幸太郎の『死神の精度』とダブリますが、 こっちの方がジーンと来ました。
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