★★★☆☆ 著者:羽山信樹 出版社:新人物往来社 定価:1890円 出版年月:1997年9月 ボリューム:298P
鬼才、最後の傑作! 急逝した鬼才が雄渾の筆致で綴った出雲尼子一族の興亡! 尼子経久を描く「鵜飼」をはじめ、 「新宮党始末」「月山落城」「鹿之介流転」の四篇を収録。 (amazon.co.jpより)
山陰の雄、尼子一族。 毛利元就の踏み台にされた彼らが 何故ここまで現代人の心を揺り動かすのか。 尼子一族。 戦国好き以外には極めてマイナーな大名家。 その最盛期は、経久(1458~1541)の時代。 流浪の身から月山富田城を奪取、山陰・山陽11カ国に及ぶ大勢力へ。 本書の「鵜飼」でも、 経久が漂泊の民 鉢屋賀麻党と結託し、富田城を奪う過程が描かれてます。
しかし、 経久死後、当主となった晴久、義久の代は毛利の攻撃を凌ぐに手一杯。 遂には毛利元就の調略により一族最強の武闘派新宮党を失うはめに。 この悲劇を描くのが「新宮党始末」。
勢いを増す毛利は、吉川元春を中心に出雲出兵。 尼子も必死の抵抗を試みますが、 役者の違いか、月山富田城に押し込められことに。 兵糧が尽き追い詰められていく城内の狂気を描いたのが「月山落城」。 尼子に伝わる名刀「新身国行」の因果、趣深いです。
一度は滅んだ尼子ですが、 山中鹿之助らは新宮党の生き残り勝久を担ぎ再起を図る。 圧倒的に不利な形勢の中、次第に手足をもぎとられていく一党。 奮戦空しく捕らえられた鹿之助、 毛利の本拠吉田郡山に向かう途上、阿井の渡しで・・・ 終章「鹿之助流転」、 海賊奈佐日本之介・サクラ父子とのコミカルな絡み、 勇者鹿之助の合戦での大活躍、 そして、見果てぬ夢の行方・・・
夢破れ国を失い、 それでも最期は笑顔だったと閉じる本書。
戦国武士の儚さ、ここに極まれり。
amazon.co.jpでcheck! ⇒
尼子に関心ある方 ⇒ 雲州尼子一族のHPへ。
⇒ 歴史小説の目次へ。
スポンサーサイト
テーマ:紹介したい本 - ジャンル:本・雑誌
|