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ねぶかどねざる
独断と偏見に基づき、小説やマンガ、ゲームをぶった斬るブログ。               ★の数で評価(最大5つ)。オススメやコメントよろしく
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豊臣家の人々
★★★★☆
著者:司馬遼太郎 出版社:中央公論社(文庫版あり)
文庫(中公)⇒定価:920円 出版年月:1993年6月 ボリューム:503P

殺生関白秀次、太閤様以上と囁かれた北ノ政所、桂離宮を造営した八条宮、大坂城とともに滅んだ淀殿母子など、
ひとひらの幻影のような豊臣家の栄華のあとを、
研ぎ澄まされた史眼と躍動する筆で現代によみがえらせ、
司馬文学の魅力を満喫させる連作長篇。
(amazon.co.jpより)


土民から天下人へ。
天才の栄達が周囲にもたらしたのは幸か不幸か。
幸運の女神に愛された男、豊臣秀吉。
幸と不幸の天秤はつりあうもの。
その妻、子らが味わった史上例を見ないup&down。

・殺生関白
・金吾中納言
・宇喜多秀家
・北ノ政所
・大和大納言
・駿河御前
・結城秀康
・八条宮
・淀殿・その子   の9篇。

秀次、秀長、妻&妹、息子が主人公の章は本名以外が章名になってます。
秀吉無くして歴史上に登場しなかった人々 ⇒ 本名以外が章名
秀吉無くしても一応存在はしたであろう人々 ⇒ 本名が章名
という使い分けがあるのでは。。。
ちょっと穿った見方でしょうか。

シュールなのは、豊臣秀頼の扱い。
タイトルでは「その子」扱い、作中でも流されるだけの存在。
秀吉抜きには何の価値も持たなかったという、
冷酷なリアルがまざまざと描き出されてます。

妹・駿河御前の編も味わい深い。
秀吉の妹、家康の妻というモノスゴイ立場にありながら、
歴史に何も残さなかった女性・・・
本当に望んでいたものは何だったのか、問うても沈黙があるばかり。

家康の実子にして秀吉の養子になった結城秀康。
秀吉・家康の英邁、威徳を受け継ぎつつ、何もできなかった人生。
歴史の皮肉を感じさせます。

秀吉という稀代のマジシャンが生み出した豊臣というフィクション。
英雄亡き後、仮装を剥ぎ取られた養子・妻たち、彼らが辿る運命とは。
冷たい現実に問われる、人間としての「真価」。

人間ドラマとして読める、深い短編集です。

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テーマ:お気に入りの作家 - ジャンル:本・雑誌

コメント

初めまして。
いつもブログ興味深く読ませていただいています。
最近、境屋太一さんの「豊臣秀長」を再読しまして
秀吉によって人生が変わった豊臣家の人物に興味がわき
この本も読みたいのですが、蔵書の山のどこにあるのか分からず・・・。
更新楽しみにしていますね。


[2006/04/06 17:43] URL | AKI #- [ 編集 ]


おぉ、コメントありがとうございます!
歴史小説ってあまり人気無いのかなと思ってレビューしにくかったんですけど、
AKIさんのような方がいらっしゃるとは。

ボクもこの本、再読です。
十代に読んだころは、駿河御前の章なんか、「つまんねー」と思ってたんですけど、
今読んでみると味わい深いですよ。

是非是非探し出してください&再訪してください。
[2006/04/07 06:28] URL | yoshi #sSHoJftA [ 編集 ]


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