評価:★★★☆☆ 著者:高橋直樹 出版社:新潮社 定価:1680円 出版年月:2001年4月 ボリューム:248P
国家が分裂し、日本史上未曾有の混沌に陥った南北朝時代。 混迷の時代の闇を斬り割くのは、武力か知力か。 常識外れの野望と智謀で天下の騒乱に終止符を打とうとした三傑を 兼好法師「徒然草」の警句をちりばめて描く。 (amazon.co.jpより)
正成、忠顕、師直、 哀しくて切ない武者たちの散り様。
日本列島、麻の如く乱れる南北朝時代が舞台。
身体的能力に恵まれ後醍醐天皇の側近として頭角をあらわすも、 結局、公卿にも武士にも受け入れられない千種忠顕。
悪党という出自に縛られ、抜群の智謀を活かしきれない正成。 英雄的な最期が強調されることが多いですが、 実は彼、生きていく事に疲れてしまったのでは。
戦略戦術に長け、楠木正成とも互角に渡り合うが、 足利家執事としての枠に縛られる高師直。
人の心にドカドカ踏み込む師直と一癖も二癖もある兼好法師の掛け合い、 お互いの能力を知る師直と正成の虚虚実実のやり取りがたまらない。
皆、己の才覚を頼りに乱世の龍たらんとするも 出自や持って生まれた分を越えられない。 遠く離れた時代にモチーフをとりながら、 彼らの足掻きがリアルに伝わってきます。
文庫化、切望。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
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