★★★☆☆ 著者:東郷隆 出版社:講談社 定価:1500円 出版年月:1995年3月 ボリューム:266P
歴史時代小説の凄み。異色にして正統なる名品。 もうひとつの忠臣蔵「南天」をはじめ、 「試し胴」「小笠原ミゲル始末」「へそくらへ」「牢人噺」「銃隊」 を収録する文字通り鬼才の傑作集。 (amazon.co.jpより)
不覚者の代名詞、大野九郎兵衛。 『忠臣蔵』で日本全国、数百年に渡り汚名をばら撒いたチャラ男。 歴史の闇に葬り去られた男の槍が冴え渡る。 何と言っても表題作。 武士の鑑 大石内蔵助の陰で、 ダメ男・ショボ家老の汚名を一手に引き受けることになった大野九郎兵衛。
塩田開発者として経済官僚として 誰よりも浅野内匠頭に恩義を受けたはずの彼が仕組む吉良への仇討ち。 鉄砲を揃え、人数を募り、練りに練られた計画。 些細なことから崩れていく切なさ。 所詮チャラ男はチャラ男なのか。 雪上を舞う九郎兵衛の槍。 雪の白さと南天の赤さのコントラスト、目にも鮮やかです。
そして『小笠原ミゲル始末』。 家康の実子でありながら、疎まれ大阪方に身を投じた偏屈者。 命を懸けて歌舞いた男が辿りついたのは異郷だった・・・
日本史の一大ペーシェント 長篠合戦。 泥臭くて滑稽な実情を描く『銃隊』。
味わい深さ、何とも言えぬ余韻漂う短編集。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
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