★★★☆☆ 著者:恒川光太郎 出版社:角川書店 定価:1260円 出版年月:2005年10月 ボリューム:179P
大学生のいずみは、 高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。 裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。 夜市では望むものが何でも手に入る。 小学生のころに夜市に迷い込んだ裕司は、 自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだという。 野球部のヒーローとして成長し、甲子園にも出場した裕司だが、 弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた。 そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたというのだが―。 第12回日本ホラー小説大賞受賞作。 (amazon.co.jpより)
いくら文明が進歩しても、永遠になくならない夜の領域。 夜市―― 妖怪たちが屋台を出す。商う品も様々。 全てを断ち切る刀、首、子供・・・ そして才能の種。 野球の才能の種と引き換えに弟を売った祐司。 再び夜市を訪れた彼の真の目的とは。
風の古道―― 現実世界の地点・地点を繋ぐ時空の抜け道。 旅人がいて、宿があり、現実世界と同様に愛と憎しみが支配する。
描き出されるのは、アナザーワールド。 妖怪(=秩序外、混沌)の世界でありながら(あるがゆえに?)、 厳格なルールに支配されているのが面白い。 夜市の場合は、何かを買わなければ外に出れないこと。 風の古道の場合は、古道で産出されたものは古道に帰属すること。
ふわふわしているようで、例外を許さぬルールが支配する世界。 まるでRPGの世界を見るよう。 こういう形のホラー、ファンタジーもあったのか! パラダイム・シフトを味わわせてれる1冊。
そして、見る者を魅了する↓の装丁。 夏の夜にぴったりな本。ご賞味あれ。
amazon.co.jpでcheck! ⇒
スポンサーサイト
テーマ:今読んでいる本 - ジャンル:本・雑誌
|