評価:★★★★☆ 著者:戸部新十郎 出版社:新潮社(文庫版あり) 文庫(新潮)⇒定価:500円 出版年月:1998年8月 ボリューム:315P
「兵法数奇」豊臣秀次は、 散りしきる桜樹の下で二人の名人から聞き知った、 死の秘太刀"花車"のことが忘れられない。 折柄、養父秀吉との仲は刻々悠揚ならざるものがある。 至極に達した使い手はただ一人、 「花に埋もれて死ぬる」を趣意とする"花車"とはいかなる剣なのか― 表題作のほか、「栴檀」「仏手」「逆髪」など、 剣の道に憑かれた男たちの生きざま死にざまを、 痛快に描く剣豪小説十編。 (amazon.co.jpより)
使うのは最期のとき。 自らの命で花を咲かせる秘剣「花車」。
桜を見ると、ついつい滝の音がしないか、耳を澄ましてしまいます。
淡々とした語り口が味わい深い剣豪小説集。
剣に魅せられ、 悟りに似た境地に達した者、あるいは妄執の鬼と化した者、 登場する剣客が魅力的。 一つの道に没念するあまり、こそぎ落とされていくhumanity。 人間の一つの極地がここにあります。
そして、刹那の攻防。 言葉は少ないですが、りありてぃは十分。
この人が描く景色も美しい。 越前の深山幽谷、桜舞い落ちる高野山。
滝のように落ちる桜花に血が舞うエンディング(表題作)は圧巻。 まさに花に埋もれて死ぬる様です。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
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