著者:海音寺潮五郎 出版社:文藝春秋(文庫版あり) 文庫(文春)⇒定価:570円 出版年月:2006年12月 ボリューム:284P
歴史上の人物は自ら弁護する自由がない。 だから評伝するにあたっては、検事の論告のようであってはならない、 判事のようであるべきだというのが著者の態度だ。 この巻には、藤原兼家、梶原景時、北条政子、 北条高時、高師直、足利義満の六人をとりあげ、 従来の悪人像を人間的な史眼によって再評価している。 (amazon.co.jpより)
ヨーロッパや中国に比べれば小者といわれますが、 我が国にも古代以来、数多の悪人が歴史を賑わしてきました。 そんな悪人たちの実像に斬り込んだ列伝、中世編。 中世とは言うものの、取り扱う時代は平安~室町。 私的には日本の歴史の中で一番好きな時期です。
遣唐使廃止から勘合貿易開始まで、 日宋貿易や天竜寺船などの例外を除き 他国とオフィシャルな付き合いのなかった500年間。 摂政関白になりたくて実の兄と骨の髄まで憎しみあう男、 夫や息子への独占欲を充たしたかっただけなのに、 政権の頂点に立ってしまった女、 生まれながらに武家政権のトップに立つことを運命づけられた蕩児・・・
出てくる「悪人」も様々。 環境が悪かった者、同時代を共有した相手が悪かった者。。。 振り返れば明かになるホントの悪人たち。
悪人列伝と言いながら、 悪人たちの不満鬱憤を晴らすかのような冷静で透明な筆致。 かなりの読み応えです。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
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