★★★☆☆ 著者:岩井志麻子 出版社:集英社(文庫あり) 文庫版⇒定価:440円 出版年月:2004年8月 ボリューム:219P
美貌と才能とお金、そして幸せな家庭。 全てに恵まれた作家の「私」は、 執筆に専念するため、マンションを借りる。 それは、担当編集者の三浦くんと甘い蜜の時間を過ごすためでもあった。 やがて私は、隣の古アパートに住む、 いわくありげな女達をもとに物語を紡ぎ始める。 暗い過去を匂わせる101号室の大女。 ヒモ男に寄生されている102号室の美女・・・ 妖気と腐臭に満ちた妄執奇譚が、今、幕を開ける。 (amazon.co.jpより)
だいたひかるに聞かれたら、「どーでもいいですよ」って言われそうですが、 女の欲望っーか、女の情念の濃さっーか そういう女性の生々しさを教えてくれたのは岩井志麻子なんですよ。 本作がとるのは、妙ちきりんなスタイル。 売りだし中の女流作家が借りたウィークリーマンション。 彼女は、そこから見えるアパートの女たちをモチーフに物語を紡いでいく。 しかも、どれも奇天烈な妄想譚。
作中作というのはよく聞きますが、 これは妄想中妄想とでも言うべきか。
ねじれたものをさらにねじったからといって、 真っ直ぐになるものでもないわけで。 生み出されるのは歯止めを完全に失った情念なわけで。
特に印象に残ったのが「いずれ檸檬は月になり」。 2つの月の支配する××の街。 そこを訪れる女性が遭遇する幻想と恐怖。 爛れた精神世界の果てを見せてくれる作品。
そして、物語を読み終えた者が辿りつく、 目次にない第5の妄想の幕開け。
うーーん、相変わらず濃いです。 むしむしする夏の夜に最適。
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