評価:★★★☆☆ 著者:飯嶋和一 出版社:小学館 定価:2100円 出版年月:2008年8月
『黄金旅風』で有家の子どもを救うために呼ばれた外崎恵舟。 しかし、この外崎が南目の代官所に追放されてしまう。 この事件に怒りを覚えた矢矩鍬之介を筆頭とする若衆が終結。 折しも代官所で火災が発生し、 代官所はこの火災を集結した若衆の仕業と決め討伐に向かうが、返り討ちにあってしまう。 それは、これまで一切の抵抗をしてこなかった旧キリシタンの土地で起こった 初めての武装蜂起だった・・・。 (amazon.co.jpより)
島原の乱、 キリシタンの宗教反乱というより、 苛政に怒った農民の反乱というのが学界の理解のようです。
本書でも、基本的にはその理解に沿いつつ、 事象を丹念に拾いつつ、なぜ3万7千もの農民たちが蜂起したかを明らかにしていきます。
だから、輝く美少年・天草四郎は登場せず。
島原を支配する松倉家の財政逼迫、 そして地域の子供たちに猛威を振るう傷寒という病、 子供たちを診療するために訪れた外崎恵舟の追放、 ちぐはぐで公平性を欠く松倉の支配・・・
さらに、朝鮮の役も経験した水軍衆の存在、 加藤家・有馬家の浪人の参加などなど
面白いのはキリスト教の扱い。 悪政に対する無抵抗の背景にもなり、 ひとたび乱が起これば、参加者の団結の背景にもなる。
事実を積み上げると言っても、無味乾燥に羅列するのではなく、 徹底して「弱い者」の目線から描かれる事の顛末。
勝ち目はあるか。 聞くのが愚問なほどに結末は分かりきった反乱。 唯一の救いは、この事件がある人物の「出星前夜」になったということなんだろうか。 失われた命>>救われた命、のような気もするけど・・・
テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
|