評価:★★★☆☆ 著者:高橋義夫 出版社:新人物往来社 定価:1500円 出版年月:1993年4月
大利根の河原を血で染めた飯岡助五郎と笹川繁蔵の抗争を描く表題作をはじめ、 時代小説の新しい世界を切り拓く秀作六篇を収録。 (amazon.co.jpより)
飯岡助五郎と笹川繁蔵、 相撲取りから博徒と似たような経歴を持つ二人の対決。 浪曲や講談でおなじみのテーマらしいです。
旗本領・天領入り組む関東、 治安強化のため斬捨て御免八州廻りが創設されるも、 村々の防衛は自警団にゆだねざるを得ない状況。
そんな中台頭するのが、助五郎や繁蔵のような親分たちです。
彼らの抗争を、キーマンとなった芳蔵の観点から描く表題作。
武士の意地・面子のすさまじさを描いた、「蛍合戦」。 院内銀山の隆盛を背景にした「山師」、「しろがね式部」。
いずれも味わい深い短編です。
ただ、一種独特の凄みがあったのが「小御所の闇」。 男は薄禄の根来同心。 取るに足りない小物か思えば、 岩倉具視邸、二条城に出入りし、 幕末の大物を駒に政争のプロットを描く人物。 そして、ラストに明らかになる彼の「動機」・・・ 深すぎる闇、絶妙の掌編です。
スポンサーサイト
テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
|