評価:★★★★☆ 著者:宮本昌孝 出版社:徳間書店 定価(上巻):2310円 出版年月:2009年1月
剣豪将軍として名高き足利第十三代将軍・義輝が松永弾正の奸計により斃れてから十余年後― ひとりの少年が、信長の戦勝に沸く堺の街に姿を現した。 少年の名は、海王。 かつて大武装船団を率いて東シナ海を席捲した倭寇の大頭目・五峰王直を祖父として育った少年は、 自らが将軍義輝の遺児であり、剣に天賦の才を持つことを知らない。 だが運命は海王を、 かつて義輝を愛した人々、そして信長ら天下争奪を目指す男たちの元へと誘う。 (amazon.co.jpより)
剣豪将軍義輝、 掛け値なしの傑作です。 歴史小説を読んで初めて、この人に仕えたいと思いました。 その続編に当たるのが本作。
しかし、前作の出来が良過ぎたか、 ちょっと期待はずれ。
まず、時代がよくない。 信長の死から秀吉の天下統一、 もううんざりするくらいの作品で描かれてきた時期です。
そして、敵がしつこい。 ほんとにしつこい。 前作以来のあの人、ヂァオファロン、小野善鬼、マヌ、 どれも強いのでしょうが、執拗に再登場を繰り返し、 主人公たちにあだをなします。 それこそ松永久秀もひいちゃうくらいに。 正直もういいよ。。。 その結果が、二段組で上下1000ページ以上という膨大なボリューム。。。
さらに海王自身のキャラクターもよく分からない。 途中、●●を失うというくだりが災いして、 結局「義輝の子」というだけの存在。
極めつけは、ちゃんと構想してたのか!?と言いたくなる様な唐突な展開。 ○○と△△が兄弟って展開で、「え!?」 ラストバトルの結末に、「マヂか!?」 ってか、あれほどの化け物が・・・
と、悪いところばかりを挙げましたが、 「魅せどころ」を心得た作家であることも事実。 特に圧巻は、本能寺で●●を取り戻す場面。 「わが覇業を継ぐか、海王」 文句なしに本作きっての名場面。 活劇的な時代小説を書かせたら、第一人者というべきでしょう。
最も懸念すべきなのは、 本作を読む → 『剣豪将軍義輝』もこんなもんか。読まなくていいや。 と思われること。 どうか、まず、『剣豪将軍義輝』を読んでください! そして、面白かったら本作にチャレンジしてください! 読む順番を間違えないで!
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
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