評価:★★★★☆ 著者:南條範夫 出版社:旺文社(文庫) 定価:400円 出版年月:1986年5月
幕末~維新期に、 各々の信念に従い、或いは崩壊する幕府に殉じ、或いは倒幕に命を賭し、 さらには自ら樹立した政権に刃向かって処刑された男たち― 三河武士の血をたぎらせて幕府を支えた小栗上野介、 倒幕を策した鉄血公卿岩倉具視、 不平士族を糾合するも萩に敗死した前原一誠、 賊軍の将でありながら明治の顕官となった榎本武揚など、 七人の男たちの姿を活写した傑作歴史小説。
明治維新の主役と言えば、 薩長土肥の西郷隆盛、高杉晋作、坂本竜馬あたり、 幕府側では勝海舟、新撰組あたりでしょうか。 そういった主役たちに着目するのではなく、 脇役の列伝を通して明治維新を描いたのが本書。
己の才幹を燃え尽くさんと幕府の立て直しに尽力し、 幕府高官中ただ一人斬首された小栗上野介の非命を描く表題作。
政争で逐われようと、暗殺者に追われようと生き延びる、 志士顔負けのサバイバル、岩倉具視を描く「鉄血の公卿」。
松下村塾にあって、高杉晋作・久坂玄瑞と並び称されつつ、 不平士族として処理された前原一誠の死を描く「無言参議の死」。
舌鋒鋭く、あらゆる不正を糾弾して止まぬ江藤新平、 生まれながらの検察官の死を描く「憤怒の生涯」、 などなど。
幕末維新に興味がある人なら引きつけられるであろう魅力的なテーマ。 それを淡々と、それでいて力ある文体で描きます。
白眉は「陰謀の人」。 皇族でありながら、謀略をもって、幕末に暗躍した中川宮。 ちょいちょい色々な幕末ものに出てくるのですが、 人物や最期については良く分からなかった人物。 英雄・駿馬と言われた男が迎える哀しい最期・・・ 流罪先の広島で知る自分の器とは。
一味違った幕末ものを読んでみたい方は是非!
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
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