評価:★★★☆☆ 著者:笹沢左保 出版社:祥伝社 定価:1600円 出版年月:1995年4月
五代将軍網吉の御側御用人・柳沢吉保は、 策略によって、大老・堀田正俊を暗殺させることに成功した。 その結果、幕府の最高権力の座に就いたのは、吉保自身だった。 網吉から一身に受ける寵愛を背景に、 老中を有名無実化し、迎合主義に徹して網吉の独裁を助け、私利私欲の悪政を推し進めた。 後世に名高い悪法・生類隣みの令・貨幣改悪である。 徳川幕府は安定期を迎え、爛熟の元禄文化が花開くが、 庶民の怨嗟の声が充満するのだった。 やがて我が世の春を謳歌する吉保に対して、儒学者・新井白石の糾弾と反撃が開始された… いつの世にも繰り広げられる権力奪取を巡る暗闘劇を描く、 著者渾身の大型歴史小説第三弾。 (amazon.co.jpより)
徳川幕閣、ドロドロの権力争い、三冊目。
幕府の権力争い、 どうしても卑近な例で考えようとしてしまいます。 その結果、なぞらえるのは、自民党や官僚の権力争い。 しかし、これらと江戸幕府の権力争いには決定的に違う一点があります。
それは、最高権力者・将軍の死の意味。 将軍が死ねば、その側近のほとんどは追われ、地位も富も奪われることになります。 自民党でも似たようなことはあるかもしれませんが、 徹底ぶりはちょっと比較にならないのでは。
前作の酒井忠清、本作の柳沢吉保はその典型例。 もっとも、吉保は、その所領は失わず、嫡子に継がせることが認められます。
史上稀に見る元禄の悪政に、国中から投げられる非難の声。 綱吉の死により、攻撃の的となる柳沢吉保。 にもかかわらず、なぜ彼は領土を没収されなかったのか。 将軍・家綱の死とともにすべてを失った酒井忠清と運命を分けたポイントはどこにあったのか。
赤穂浪士の討ち入りを絡め、元禄の権力争いを描いた一冊です。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
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