評価:★★★☆☆ 著者:新田次郎 出版社:新潮社(文庫) 定価:360円 出版年月:1988年9月
黍団子を食べれば百人力、槍の腕は武士にも引けをとらない与右衛門。 志顔して加わった上杉方との戦で抜群の度胸と機転を発揮し、手柄をたてた彼が望んだものは―。 名もない小作人の活躍をコミカルに描く表題作の他、 歴史の背後に隠された気象情報戦略を描く「豪雪に敗けた柴田勝家」、 幕末のアイヌ反乱を扱った「最後の叛乱」など、 バラエティに富んだ7編を収める時代小説短編集。 (amazon.co.jpより)
とにかく風変わりな短編を集めた1冊。
きびだんごの力で功をあげていく小作人を描いた表題作、 猛将の衰亡を気象に見出した「豪雪に負けた柴田勝家」、 未曾有の凶作と厳島の戦いを絡めた「凶年の梟雄」。
いずれも新田次郎ならではの世界観が広がります。
しかし、白眉は末尾の2編。
春日局の姪にして江戸城を牛耳る祖心尼、 60歳とは思えぬ色気を振りまく怪婆を描いた「妖尼」。
松前藩の蝦夷支配を揺るがしたシャクシャインの乱。 直参旗本の家人でありながらシャクシャインの婿となった男との数奇な人生を描く、 「最後の叛乱」。
まさにこんな話聞いたことも無い!というエピソードが、淡々と描かれていく。
他にはない、一風変わった時代小説を読みたい人におススメ。
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テーマ:歴史・時代小説 - ジャンル:本・雑誌
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