評価:★★★★☆ 著者:船戸与一 出版社:文藝春秋(文庫版あり) 文庫⇒定価:920円 出版年月:2004年5月
バブル崩壊後の日本の閉塞と混沌を象徴する街・新宿。 ヤクザ・オカマ・元教師のホームレス──うごめく人間たちが抱える熱い情念
バブル崩壊後の日本の閉塞と混沌を象徴する街・新宿。 ヤクザ・おかま・ホームレス・高利貸し・婦人警官……。 暑い夏、街でうごめく人間たちが格闘する苛酷な現実と、やがて直面する未来は? 街と時代の不条理、そして人間の暗い情念をあわせ描いた直木賞受賞後第一作。 「夏の黄昏」「夏の渦」ほか傑作中篇を八本収録。 (amazon.co.jpより)
ボリューム満点で予期せぬ展開が次々起こる、 というのが船戸作品のイメージでした。 正直、短編でこの作風がどこまで発揮されているか不安もありましたが・・・
読んでみれば、期待以上の良作。 野心と失望、諦めと執念、展開と閉塞、 人の情や念がうずまくカオスシティ新宿が主要な舞台。 季節はどれも夏。
各話がリンクしているといったギミックがあるわけではありませんが、 登場人物・構成がどれも魅力的。
特に光るのが「夏の渦」。 テーマはオカマの意地。 知られざるオカマの生態、 笑えるけど切ない。 享楽的だけど未来に待つ闇を知っている。。。
べとつくようなしつこい暑さ、 そして、あの臭い・・・ 新宿の夏はもういい!という人もいるかもしれませんが、 夏だからこそ読みたい一冊。
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