評価:★★☆☆☆ 著者:真藤順丈 出版社:角川グループパブリッシング 定価:1575円 出版年月:2008年10月
庵堂家は代々、 遺体から箸や孫の手、バッグから花火まで、あらゆる製品を作り出す「遺工」を家業としてきた。 長男の正太郎は父の跡を継いだが、能力の限界を感じつつある。 次男の久就は都会生活で生きる実感を失いつつあり、 三男の毅巳は暴走しがちな自分をやや持て余しながら長兄を手伝っている。 父親の七回忌を目前に久就が帰省し、久しぶりに三兄弟が集まった。 かつてなく難しい依頼も舞い込み、ますます騒がしくなった工房、 それぞれの思いを抱く三兄弟の行方は? 第15回日本ホラー小説大賞大賞受賞作。 (amazon.co.jpより)
『ぼっけぇきょうてえ』など、 良質(=怖い)の作品を供給し続けるホラー小説大賞。 大賞受賞作ということで期待を抱いてページを開いたのですが・・・
死者といつまでも。 あの人と一緒にいるため、 あの人の遺体を加工する。 生み出される生活必需品の数々。 茶こし、茶碗、箸・・・
遺体から物を作る、この「遺工」という設定にまずガツンとやられます。 グロテスクでヘビーな描写。
しかし、この遺工を物語の真ん中におきつつ、 展開されるのは、行き詰った兄弟の自分探し。 道具立てこそ異常ですが、 話のスジ自体はごくまともな青春物語。
正直これをホラーと呼べるのか。 ホラーがhorrorだとすれば、 恐怖という要素の欠けた本作はホラーの範疇に入らないのでは。 本作を大賞に選んだ選考陣にそこらへんのところを聞いてみたいものです。
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